帝国劇場 ミュージカル「マリー・アントワネット」10/09/2018 18:00公演(笹本、昆、田代、原田、長堀、叶)

博多座からスタートした新生「マリーアントワネット」が帝国劇場でも幕を開けました! .
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MAという同じイニシャルを持つ2人の女性、マリー・アントワネットとマルグリット・アルノーが出会い、憎しみあい、許し合い、ともにフランス革命の激動の時代を生きていく。2人の数奇な運命を辿る物語。 .
フランス革命を題材にしていますが、1789やベルサイユのばらなど従来のフランス革命作品とは少し違ったテイストになっていました。特に、史実に登場する人物であるマリー・アントワネット、ルイ16世、そしてフェルゼンの描き方。マリー・アントワネットは自由で奔放、贅沢好きの無邪気な女性というイメージとともに、家族、そして子供たちを大切にする母というイメージが強く押し出されていたり、ルイ16世は史実通り、いやそれ以上にでくの坊でおどおどした”普通”の男性であったり。特にフェルゼンはマリーを一途に愛した、かっこいい男性というよりは、マリーのために、フランスの財政難や経済格差という危機を革命前から変えていこうと試みる熱い男性というように描かれていました。
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そして、それらと対象的に描かれるのがマルグリット・アルノーをはじめとする、史実には残らなかった民衆たち。私には、この貴族と民衆の対比が、理想と現実の対比のように映りました。民が飢えているという現実を無視して、ダンスパーティーにケーキにプチトリアノンと華やかな理想の世界に生きる貴族サイド。対して平民は飢え、1日のパンにも困っている。衣装や舞台装置からも色とりどりの理想と色のないモノクロの現実という対比がわかりやすいです。そして、その現実を生きる民衆のエネルギーが革命を起こす。ただこの物語はそこで終わることなく、お金のために行進に参加したり、貴族を殺してはその首をやりに突き刺して練り歩いたりという、ある意味人間の性ともいえる現実を写し出し、フランス革命という出来事をただ美化することなく幕を閉じます。正義を唱えていた民衆が集まり、力を得ていく中で非人道的な、ある意味異常ともいえる行動をとっていく。これは第二次大戦中のファシズムや現代の紛争を彷彿とさせるものであり、現代社会の私たちに正義とは何かという問いを投げかけているようでもありました。 .
マリー・アントワネットを演じた笹本玲奈はその感情の起伏が見事でした。特に幽閉され、夫を殺され、子供と引き離された笹本マリーの苦しみ、そして何かを悟ったような表情は、さすがと思いました。昆夏美のマルグリット・アルノーは抜群の歌唱力で民衆を率いて歌う数々の名曲の迫力はもちろんのこと、マリーと触れ合う中で自分の中での正義が揺らいでいく、その感情の演じ方も素晴らしかったです。田代万里生はマリーへの熱い想いから行動を起こしていくフェルゼンを体現し、吉原光夫はある意味悪役でもあるオルレアンを”かっこよく”演じました。 .
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MAという2人の女性を通して、この物語ではフランス革命期を生きた名もない民たちを描いているようでもあります。現実で虐げられた民が立ち上がり、絶対君主を倒す。だが、その民衆のエネルギーは集まると、次第に非人道的な残虐なものへと転換していく。。。 .
どうすれば変えられる、この世界を私たちで。
そのことを現代の私たちは今、考えなければならないのかもしれません。
お時間のある方はぜひ劇場へ。
(杉下)

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