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2019.6.17 18:00 帝国劇場 ミュージカル『エリザベート』
(エリザベート:愛希れいか、トート:古川雄大)
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『エリザベート』は、その圧倒的な人気に違わず、やはり紛うこと無き名作であった。
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主役のエリザベートには、昨年の宝塚歌劇団での退団公演で同じく彼女を演じた愛希れいかが体当たりの演技を魅せてくれた。
チャーミングな顔だちの彼女だが、纏うムードには皇后らしい貫禄があり、舞台が一際重厚なものになっていた。
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トートには、過去に3度ルドルフを演じた経験のある古川雄大。「黄泉の帝王」としての存在感が圧巻であり、また安定した歌唱も素晴らしく、「帝王」として流石というべきパフォーマンスで観客を魅了していた。
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本公演では、古川の持つ温かみのある雰囲気からか、トートのエリザベートに対する一途な片想いがより強く感じられた。
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名曲ぞろいの本作品。「我ら息絶えし者ども」「ミルク」をはじめとしたアンサンブルが非常に濃厚で、聞き応えに迫力に十分なものであった。
舞台上の一人ひとりが芝居を綿密に組み立てていたが、それらが絶妙に調和しており、カンパニーのチームワークが感じられた。(古門)
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#帝劇#エリザベート#愛希れいか#トート#古川雄大#平方元基#木村達成#剣幸#山崎育三郎#観劇#観劇記録
宝塚歌劇団星組全国ツアー公演@相模女子大学グリーンホール 大ホール 『アルジェの男/ESTRELLAS~星たち~』
2019/5/11 18:00公演 .
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『アルジェの男』
主人公ジュリアン(礼真琴)は、不良グループのリーダー格で、いつか大成功することを夢見る野心ある男。しかし、あるきっかけから悪事からはきっぱりと足を洗い、政治の道へと進みます。その胸に燃える野心の炎は燃え盛ったまま。人を愛することができないジュリアンは、無慈悲に女性を利用し、傷つけ、それでも成功への階段を上っていく。ジュリアンは、人を愛することができるのか。彼の運命とはー。

どのキャストも歌・ダンスともによく、質の良い舞台を観た印象。礼真琴も、久しぶりの悪役をしっかり演じ切っています。娘役を抱き寄せる時の冷たく凍った無表情、柄の悪い不良→上流社会の人間の演じ分け等、とても良かったです。また、彼女の歌唱力は圧巻の一言でした。しかし、話の展開が早すぎて少しストーリーが追いにくい印象も受けました。キャストの演技力でもカバーできていなかった気がしたので少し残念です。 .
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『ESTRELLAS~星たち~』
こちらのショーは以前、大劇場で星組が上演したものですが、専科愛月ひかるを迎え、配役を変え、新たに生まれ変わっていました。全く違うショーを観た感覚です。紅ゆずるを真ん中に据えたESTRELLASは、どこかユーモラスで活気溢れる印象だったのに対し、礼真琴率いるESTRELLASはキレッキレでかっこよくクールな印象でした。(もちろん礼真琴率いる舞台もエネルギーに満ちています。)礼真琴は会場の隅々まで響きわたる厚みのある、かつ色っぽい艶やかな歌声で会場を魅了します。客席全体が礼真琴で”埋まる”とはまさにこのこと、という感じ。また、指先の動きや姿勢、ジャンプの高さ、手足の伸びなど細かな仕草にまで気を使い、誰よりもキレよく、かっこよく魅せるダンスにも感動しました。愛月ひかるも、圧巻のオーラと安定したパフォーマンスで会場を魅了し、上級生として舞台を支えていました。星組生も、全体として歌唱力、ダンス共にパワーアップした印象です。

お芝居、ショー共にご当地ネタがいっぱいだったのも、全ツならではでした。礼真琴を真ん中に据えた今回は、やはり舞台レベルが高く、彼女の技術力の高さと努力が組全体を引っ張っているようでした。今後の星組に期待大です。
(杉下)
#宝塚 #宝塚歌劇 #星組 #星組公演 #全国ツアー #全ツ #アルジェの男 #estrellas #礼真琴 #音羽みのり #愛月ひかる #紫藤りゅう #極美慎 #ミュージカル #舞台 #演劇 #観劇 #劇評 #nesta
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「あえてここでの大決算」はりねずみのパジャマ 5/5 12:00開演 ARAKAWA DUST BUNNY
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劇場は荒川の土手近くの廃墟。廃品の臭いがこもる細い階段を登ると、壁がなく外から丸見え、散らかった家具やゴミが印象的な舞台が現れた。この異様な空間でこれから何が始まるのだろうという期待感で、開演までの時間もあっという間だった。
廃棄の片付けを引き受けた大学生4人。しかしそこに次から次へと悩みや問題を抱える人々が加わり、片付くどころかさらに散らかり混乱してしまう。結局廃棄の片付けは諦め、何故か突然始まった運動会で自分の過去や問題に区切りをつける、“決算”するという、笑いが絶えないコメディ作品であった。
次々起こる事件、先の読めない展開に思わず身を乗り出して見入ってしまった。劇場を隅から隅まで丸ごと使い、時には観客を巻き込み、全く時間を感じさせない2時間だった。
一瞬の静寂の中で響く外の車の音や子供の声も、不可欠な舞台効果に感じた。私が観たお昼の回は照明の効果がわかりづらかったのが残念だが、照明が引き立つ夜公演と自然光がメインの昼公演では全く別の見え方が楽しめるのも、半屋外の醍醐味だと感じた。
「はりねずみのパジャマ」の次回公演にも期待したい。(吉枝)
#演劇 #観劇 #はりねずみのパジャマ #あえてここでの大決算 #劇評 #レビュー
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「リチャード3世」東京芸術劇場プレイハウス 4/7 15:00開演
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中国のナショナルシアター、中国国家話劇院による「リチャード3世」は、2012年にロンドンで開催された「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル」で上演され、世界各国で好評を博した。
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会話と自然な身体動作を基礎とする“話劇”と、歌・台詞・舞踊を組み合わせた中国の伝統的な“京劇”。それぞれの要素が合わさった「リチャード3世」は、残酷な中にもどこか爽快感があり、伝統的な衣装や繊細な舞踊は、観る者の目を惹きつけて離さなかった。
京劇の役柄の一つである丑(道化)2人による暗殺の場面は特に印象深い。軽快なテンポの台詞で客席から笑いを誘い、大迫力の技の数々に思わず息を飲んだ。
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パンフレットには演出家・王暁鷹が「シェイクスピア400年の演劇世界は西洋だけのものではなく、中国のものであり、日本のものであり、韓国のものであり、世界のものである」と記している。歴史あるシェイクスピアと伝統文化が融合した「リチャード3世」は中国が古くから受け継いだ魅力が詰まっており、今回日本で上演されたことで、私はそれに触れることができた。シェイクスピア作品は今まで多くの人に愛され、これからも世界で楽しみを分かち合いながら発展していくことを再確認することができた。(吉枝)
#リチャード三世 #リチャード3世 #演劇 #観劇 #東京芸術劇場 #東京芸術劇場プレイハウス #シェイクスピア
2019/4/12  14:00開演@シアタークリエ
『音楽劇ライムライト』
チャップリンの傑作映画『ライムライト』が舞台化されました!
かつて一世を風靡した、年老いた喜劇役者のカルヴェロと、人生を悲観し自殺を図ったバレリーナ、テリーの物語。
カルヴェロ役は初演から引き続き石丸幹ニが、テリーは新たに実咲凛音が務めます。

どこかノスタルジックな雰囲気を漂わせて舞台は進みます。音楽は映画でも使われている「エターナリー」が要所で使われ、所々にある身振り手振りの表現は、ミュージカルなのに、まるで無声映画を思い起こさせます。

石丸幹ニは、過去の栄光を忘れられない、どこか悲しくて滑稽なカルヴェロを見せてくれました。ニ幕に入り、ライムライトに照らされたテリーが輝けば輝くほど、弱く、小さくなっていくその姿は、人生の最後に差し掛かっている老優そのもの。丁寧に描かれたカルヴェロの悲哀に、ついつい涙が溢れてしまいました。

カルヴェロ、テリー以外は本来の役以外にもアンサンブルとして出てきます。人数が少ないカンパニーだからこそ、息があっていて、とても見応えがありました。

老衰というのは誰もが避けては通れない運命です。老境に差し掛かり、苦しみ、もがくカルヴェロは、美しく、悲しく、そしてとても人間らしいと思いました。

チャップリンの映画を観たことがある方はもちろん、知らない世代の方もぜひこの機会にご覧になってみませんか?(小野)

#観劇#観劇記録#シアタークリエ#limelight#ライムライト#チャップリン#石丸幹ニ#実咲凛音#矢崎広#荻田浩一
2019.4.2 18:30  東京宝塚劇場 花組公演 『CASANOVA』
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歴史に名を残す稀代のプレイボーイ、ジャコモ・カサノヴァの華麗な人生を、様々な人との出会いや恋を織り交ぜて描いた冒険劇です。
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多くの女性を虜にしつつも、その全ての女性を深く愛するカサノヴァという役どころは、研究科17年の男役として典雅を極めた明日海りおだからこそ成しえたのだと確信しました。
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本作で退団する娘役トップスター・仙名彩世はヴェネチア総督の娘、ベアトリーチェを演じました。 娘役らしい楚々とした気高さや、艶やかな透明感のある歌声を持つ彼女を本公演を最後に観られなくなるのはとても残念でなりません。
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盆やセリを駆使して物語を描くことで臨場感が増しており、そのうえ舞台の背景となる映像も加わってリアリティが感じられました。また、どの場面のお衣装も絢爛で目に鮮やかでしたが、特にカーニヴァルのお衣装は、デザインが光っており、装置・衣装共に舞台に百花を添えるようでした。
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そして特筆すべきはドーブ・アチア氏の書き下ろしである楽曲の素晴らしさです。キャッチーなメロディーの中に、カサノヴァの愛や情熱、物語のロマンチックな様子が感じ取れるようでした。カサノヴァとベアトリーチェが馬車の中で出会う場面では、あまり宝塚ではみられないラップ調の曲が使用されますが、舞台の中に自然と溶け込んで二人の出会いをリズミカルに表現していました。
また、作・演出を手がけた生田大和氏のワードセンスも秀でており、カジノでの場面の曲に登場する「自由に生きて 強く死ぬ」というフレーズに万感胸に迫る観客も多いのではないでしょうか。
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「人生には恋と冒険が必要だ」というカサノヴァの言葉は、日々を忙しなく生きる現代人にこそ届いて欲しいものです。(古門)
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#東京宝塚劇場#宝塚歌劇団#花組#カサノヴァ#祝祭喜歌劇#CASANOVA#明日海りお#仙名彩世#生田大和#ドーブアチア#観劇#舞台#観劇記録
2019.3.28 17時半公演 
OSK日本歌劇団『春のおどり』
「春爛漫桐生祝祭・STORM of APPLAUSE」
@新橋演舞場
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東京に、一足早く豪華絢爛な満開の桜が咲き乱れました。
『春のおどり』は毎年春に公演される伝統あるレビューショーです。このタイトルは、松竹創業者の白井松次郎氏が考案したものだそうです。
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1部は和物ショー『春爛漫桐生祝祭』、2部はレビュー『STORM of APPLAUSE』の二本立てで、桐生麻耶のトップスターお披露目公演ということもあり、一際華やいだ雰囲気が印象的でした。
特に1部の第4章 「夏祭り」のさらし布や団扇をはじめとする様々な小道具を用いた群舞は圧巻で、「ダンスのOSK」と言わしめるに十分であるパフォーマンスを披露していました。
フィナーレの桐生八木節では、桐生の重厚感のある歌唱が耳に心地よく、存在感が頼もしかったです。
また、桐生の歌唱と同列の評価に値するのは、楊琳のダンス力です。
楊の雄々しくも繊細なダンスからは、その全てに気品が滲み出ており、観客を虜にしてしまう様子が感じられました。
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桐生と楊の掛け合いの場面も多くみられましたが、表情や仕草の一つ一つが絶妙で、2人の厚い信頼関係を感じさせました。
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OSKの象徴である桜をモチーフに作り上げられる場面が多く、その全てが色鮮やかで、高らかに春の訪れを知らせるようでした。
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東京 新橋演舞場の次は、大阪 松竹座で上演されます。皆様も、美しく舞う桜の花々を観に劇場に足を運んでみては如何でしょうか?(古門)
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#oskrevue#osk日本歌劇団#春のおどり#桐生麻耶#楊琳#舞美りら#新橋演舞場#山本友五郎#平澤智#観劇#観劇記録
東京宝塚劇場 星組公演「霧深きエルベのほとり・ESTRELLAS〜星たち〜」
3/2/2019 11:00公演
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お芝居「霧深きエルベのほとり」は、水夫カール(紅ゆずる)と上流階級の娘マルギット(綺咲愛里)の悲恋を描いた、菊田一夫氏作の名作の再演です。

水夫カールは、ビア祭りのある日に、偶然父親に反発して家出した娘マルギットと出会います。カールの粗暴な振る舞いの中に、やさしさ、暖かさを見出し、次第に惹かれていくマルギット。2人は次第に恋に落ちますが、マルギットの出自が2人の恋路を阻みます。果たして、カールの下した決断とは。マルギットを想う2人の男性、カールとフロリアン(礼真琴)のマルギットへの愛の溢れる言動に、何度も涙を流してしまいました。また、初めのビア祭りのシーンも、星組生徒たちの華麗な歌、ダンスは迫力があり、魅力的です。

レビュー「ESTRELLAS〜星たち〜」は、星をテーマにしたショー。星に関する、往年の名曲や世界各地のヒット曲を集めており、耳馴染みがよかったという印象でした。なじみの曲とタカラジェンヌのキラキラとした魅力が相まった大変華やかなショーでした。さらに、この公演ではお芝居とショー合わせて3回の客席降りがあり、タカラジェンヌの方々のパフォーマンスを間近で堪能できることも魅力です。

皆さまも是非星組の魅力をご堪能ください。
(杉下)

#宝塚 #宝塚歌劇 #星組 #星組公演 #霧深きエルベのほとり #estrellas #紅ゆずる #綺咲愛里 #礼真琴 #七海ひろき #瀬央ゆりあ #ミュージカル #観劇 #観劇記録 #舞台 #劇評 #nesta
東京宝塚劇場 雪組公演「ファントム」
1/24/2019 13:30公演
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宝塚歌劇の人気作品が、初めて雪組によって上演されました!

オペラ座のファントムとして恐れられているエリック(望海風斗)は、生まれつき醜い顔を持ち合わせており、人々から隠れてオペラ座の地下で暮らしていた。ある日、新しくオペラ座で働くことになったクリスティーヌ(真彩希帆)の歌声に聞き惚れ、彼女を密かに指導することに。劇団員たちの前で歌声を披露したクリスティーヌはオペラの大役に抜擢されるが、新支配人の妻カルロッタ(舞咲りん)の陰謀に巻き込まれてしまう。怒り狂うエリック。彼を待ち受ける悲劇とはー。

ガストン・ルルーの名作「ファントム」を元にした作品としては、アンドリュー・ロイドウェバーによる「オペラ座の怪人」(日本では劇団四季が上演)が有名ですが、モーリー・ イェストン版「ファントム」もとても魅力的な作品です。ロイドウェバー版より、イェストン版はファントムの人間的側面をより深く描いているように思います。その分、ファントムの孤独や愛されたいという想いがより観客に届き、誰もがファントムに心をよせられる作品となっているのではないでしょうか。

今回の雪組公演では、各生徒の実力が光っていました。歌うまコンビとして折り紙つきの雪組トップコンビ望海風斗と真彩希帆の歌声はもちろん、望海は1人の人間としてのエリックの苦しみ、その想いを秀逸に演じました。また、エリックの父キャリエールを演じた彩風咲奈は歌、芝居ともにパワーアップしており、望海演じるファントムとの銀橋でのシーンは涙なしには見られませんでした。

雪組公演は終了してしまいましたが、次は東宝版ファントムが上演されます。こちらも楽しみです。

また、今回の公演はライブビューイングで大千秋楽も観劇させていただいたのですが、ライブビューイングでは普段の公演では見られない役者の表情まで見ることができました。1回目の観劇では気づかなかった些細な仕草や表情に多く気づくことができ、違った視点で楽しめました。

今後の宝塚歌劇、そしてライブビューイング観劇にも注目です。
(杉下)

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シアタークリエ  東宝「キューティ・ブロンド」
2/27/2019 18:30公演
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キュートでかっこいいエルが帰ってきました!キューティ・ブロンド再演です!

エルはファッションが大好きなブロンドのかわいい女の子。しかし彼氏に中身が空っぽだと馬鹿にされ振られたのをきっかけになんとハーバードロースクールを目指すことに!ハーバードに行くまでの道のり、そしてハーバードでの様々な苦労を明るくキュートにそしてまっすぐに乗り越え、自ら道を切り開いていくエルの姿を描きます。

明るい楽曲やダンスナンバーが多く、コメディ要素も満載な、これぞミュージカル!というような作品でした。神田沙也加さんはキュートで、でも芯の通ったまっすぐなエルにぴったりです。会場も笑ったり手拍子したりと、とても盛り上がっていました。しかし歌って踊って楽しいだけの作品ではなく、エルがいじめや差別に立ち向かい、自らを変えようとしていく姿から、自分を変える勇気、これからの毎日を自分らしく懸命に生きる勇気をいただきました。見終わったあととてもハッピーになれるミュージカルです!

東京公演は明日で終わってしまいますが、ツアーで全国を回るそうなのでお時間のある方は是非! (杉下)

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「Le Père 父」
2019.2.21 14時開演 東京芸術劇場 シアターイースト
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フランス最高位の演劇賞・モリエール最優秀脚本賞を受賞し、その後も世界30カ国以上で上演されたこの作品。今回、フランスオリジナル版と同じラディスラス・ショラーによる演出で、日本で初演を迎えた。
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認知症を患う父アンドレ(橋爪功)、その娘アンヌ(若村麻由美)と義理の息子や看護師などのアンドレを取り巻く人々。アンドレは症状が進むにつれ、どれが自分の娘なのか、誰の言うことが真実か、自分は今どこにいる誰なのかさえ分からなくなっていく。また、認知症の症状と、アンドレがもともと持つ頑固さ故に、周囲との関係もギクシャクとしてしまう。父にとって、自分や家族にとって、最善の方法は何なのかアンヌは摸索したのち、父を施設に入れることを決意する。
この作品の大きなポイントは、認知症のアンドレの視点で物語が進行していくところである。先ほどまで確かに娘だった人がいつのまにか見知らぬ女にすり替わっていたり、今話していたことが実は何年も前の会話だったり、過去と現在の記憶の中を行ったり来たり、ふわふわと旅をしているようだった。
アンドレを演じる橋爪功の芝居には胸が締め付けられた。威厳がありプライドの高かったアンドレも、症状が進むにつれ、弱々しく小さくなっていく。孤独で哀しい境遇と、ユーモラスで頑固な性格のバランスが、どこか切なかった。
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高齢化が進み、認知症患者も増え続けると言われている日本。誰にも自分の記憶など信じてもらえず、話にも耳を傾けてくれない。認知症の自覚もなく、ただ周りとの関係が狂っていくのを不思議に感じながら眺めているだけ。この作品で体感した感覚が、認知症を患う人が常に感じているのだとすれば、それは恐怖である。今後自分の家族がもし認知症を患ったら、アンヌと同じ葛藤を味わうのか。認知症と真剣に向き合わなくてはいけないそう遠くない日のために、この感覚を記憶に留めておきたい。(吉枝)
#演劇 #舞台 #東京芸術劇場 #シアターイースト #橋爪功 #若村麻由美 #観劇
Thrill me
2018/12/22  19:30開演(私:成河  彼:福士誠治)
東京芸術劇場シアターウエスト

通路をゆっくりと1人の男が重そうに歩いてくるところから始まった。刑務所内の審理室、仮釈放請求審理委員会で、受刑囚「私」は語り始める。

この公演は、「私×彼」が「成河×福士誠治」と「松下洸平×柿澤勇人」の2パターンあり、「私」と「彼」そして1台のピアノのみで繰り広げられる。今回観たのは「成河×福士誠治」バージョンだ。

成河の「私」は34年前と現在を軽々と行き来する。姿勢、表情、声…照明も相まってまるで別人。大学生の「私」から一瞬で変わり、本当に1人がやっているのか信じられないほど。

大学生の「私」は自分をニーチェの描く"超人"だと自負する「彼」の、完全犯罪こそが社会を超越し、"超人"の自分達でもスリルを味わえるという考えに巻き込まれ、次々に犯罪を重ねていく。そしてついに、残忍な誘拐殺人を起こした。しかし、「私」は犯罪現場に眼鏡を落としてしまう。着々と進む警察の捜査に先に「私」が、そして「彼」も捕まる。一方的に「彼」がリードしているように見えた関係性。だが本当に支配していたのはどちらだったのか…

福士誠治の「彼」はスタイリッシュで冷たくて、余裕たっぷりな様子がたまらない。まさに「息もつかせぬ100分間」だった。劇場は小さく、舞台上の2人の緊張感が客席にダイレクトに伝わってくる。

東京公演は1/3ほど終わったところ。2パターンそれぞれ、千秋楽にかけて進化し続けて行くのが楽しみだ。観終えてすぐ、もう1回観たい、と思ってしまったのが恐ろしい。(小野)

#観劇記録#スリルミー#成河#福士誠治#thrillme#松下洸平 #柿澤勇人